自由曲面オプティクス - 未来のシステム
回転対称性のない自由に形成された光学面は、光学システムにまったく新しいコンセプトを持ち込みます。
自由曲面オプティクスを採用すると、部品点数を減らし、より小さく、より軽く、より効率的な光学システムの構築が可能になります。
自由曲面オプティクスの光学設計と製造には、高度な精度と製造ノウハウが必要です。
自由曲面の仕様
自由曲面オプティクスとは、球面および非球面の形状とは大きく異なる屈折面および反射面です。
自由曲面の製造は、まず表面形状の定義から始まります。
光学系の明確な説明に加えて、方程式、点群、または3Dモデルが必要です。
回転対称のレンズを偏心させれば、それは自由曲面オプティクスとも言え、このとき off-axis となります。
スペースを節約するために、必要ない部分が切り取られています(図1.参照)。
したがって、製造に関しては、対称レンズの方がより安価で製造が容易です。
光学設計に関しては、光学効果が得られているため、その表面はすでに自由形状になっています。
しかしながら、そのような偏心レンズの副作用は、斜めの入射光による収差の増大であり、それは最終的にイメージの品質低下につながります。
「本当の」自由曲面の大きな利点は、特殊な形状と多数の自由度のおかげで、非常に優れたイメージング品質を実現できることです。
しかし、光学設計や製造工程は複雑で高度な技術レベルが必要です。
自由曲面光学系の利点とその挑戦
自由曲面光学系は、その特殊な表面形状に基づいて、従来の光学系にはない機能を実現できます。
特に、モノリスなどの光路の折り畳みを必要とする光学システムでは、自由曲面の光学面が非常に有利であり、
ミラーシステムなど既存の大きなシステムを置き換えることができます。
これを説明するために、次の図は、シミュレートされたビームパスフォールディングを備えた 3 つの非球面と 1 つの自由曲面で構成される
モノリシックシステムの光学設計を示しています。
示されているモノリスは、研究開発プラットフォーム fo + 内で作成されました。
球面や非球面のオプティクスと比較して、視野(FOV)、開口数(NA)、サイズ、重さの点で自由曲面を使う利点があります(図3.参照)。
しかしこのように高品質な光学系には、高品質な自由曲面オプティクスの実現が絶対条件です。
自由曲面オプティクスの主な利点は次のとおりです。
- コンパクトな形状
- 光学システムのサイズの縮小、そして
- 新しい光学機能の実現
対称性が極わずか、または全くない光学形状 / 表面のため、自由曲面オプティクスには多くの自由度があります。
その製造は、非常に複雑な非球面の製造と似ています。
表面形状と傾斜の局所的な変化は、形状、製造プロセス、および測定の複雑さに影響を与えます。
最新の製造技術と測定機器を駆使して、アスフェリコン社は自由曲面オプティクスおよびシステムを製造しています。
さらに、光学設計へのアドバイス、光学コーティング、マウント、CGH フリー測定(すべての位置公差を含む完全なコンポーネント)を提供します。
アスフェリコン社がつくる自由曲面オプティクス
アスフェリコン社の革新的なテクノロジで実現できる自由曲面オプティクスとシステムの利点がこちらです。
- セラミックも含むすべての材料での自由曲面形状
- レンズやミラーなど、直径 300 mm までの単一構造素子
- 多焦点でコンパクトなシステム
- 優れた表面品質(RMSi 50 nm まで)
- すべての位置公差を含む、CGH フリーの測定(完全な部品として)
- 光学コーティングとマウントのコンセプトを個別に検討
- 生産に最適化されたシステム設計のために光学設計をアドバイス
fo + を核とした成長
2014年からは、地域のパートナー、企業、研究機関とともに、自由曲面光学システムの開発に関する研究プロジェクト「Freefrom Optics Plus(fo +)」に取り組んでいます。
アスフェリコン社での自由曲面光学系の製造に関する詳細は、Photonics West2020 で撮影された次の fo + のビデオでも見ることができます。
アルバレスシステム(Alvarez System)
アルバレスレンズをベースにした自由曲面システムをご覧ください。
このようなシステムは、コンパクトな設計であるため、自由曲面のアイディアが特に効果的です。
表面形状のおかげで、光学機能を無限に変えることができます。
例としては、システムの焦点距離の動的な変化、レーザビームの発散の補正、正方形のトップハットプロファイルの作成などがあります。
比較表
標準 | 高精度 | ダイヤモンドターニング | |
---|---|---|---|
直径 | 8 – 300 mm | 4 – 300 mm | 1 - 150 mm |
直径公差 | ± 0.1 mm | ± 0.01 mm | |
中心厚さ | 2 - 60 mm | 2 - 60 mm | from 0,5 mm |
中心厚さ公差 | ± 0.1 mm | ± 0.05 mm | |
RMS Irregularities (RMSi) | 0.75 – 0.3 µm | 0.09 µm | 0.1 µm |
表面粗さ | 2.0 – 3.0 nm | 1.5 – 2.0 nm | up to 1 nm |
光学表面の干渉計測定 | ご希望により測定 | ご希望により測定 | ご希望により測定 |
コーティング | ご希望によりマウント設計に対応 | ご希望によりマウント設計に対応 | ご希望によりマウント設計に対応 |
材料 | お客様ご指定の材料 (セラミックスを含む) |
お客様ご指定の材料 (セラミックスを含む) |
お客様ご指定の材料 (セラミックスを含む) |
マウント | ご希望によりマウント設計に対応 | ご希望によりマウント設計に対応 | ご希望によりマウント設計に対応 |
自由曲面オプティクスの応用例
サーモグラフィシステム用の自由曲面オプティクス
プロジェクトの詳細
国内外の顧客に自由曲面オプティクスを提供するために、さまざまな材料(UV、VIS、IR)から自由曲面を加工する製造方法が fo + 内で開発されました。
その成果としてIR光学系の位置決めを簡素化するためのゲルマニウムモノリスを製造しました。
サーモグラフィシステムへの応用が期待されています。
プロジェクトの実現
- 光学設計要件:システムのサイズを縮小しながら、元の画質を維持する(省スペースと最大 50% の軽量化)
- 製造要件:すべての光学面の正しい配置(位置、傾斜)、参照構造体に対するすべての自由度の同時測定
- 「コスト低減を考慮した設計」および「製造工ほどを考慮した設計」を考えプロセスチェーン全体の最適化
- 自由曲面オプティクスの記述に関するガイドラインの作成(DIN ISO 10110-19)
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