音叉型水晶振動子用チャージアンプ
HQA-15M-10T

HQA-15M-10Tは、時間の経過とともに平均してDC成分を持たず、発生もしない純粋なAC電源のために特別に開発されたチャージアンプです。従って、積分器をリセットする必要がありません。

原子間力顕微鏡(AFM)で使用される音叉型水晶振動子に最も適しています。また、パイロ式及びピエゾ式ディテクタや縦振動子なども信号源として適しています。

優れたS/N比

HQA-15M-10Tは、小型の音叉で発生する電荷信号の増幅用に設計されています。また、超音波振動の検出などに用いられるピエゾ素子からの信号の受信にも最適です。HQA-15M-10Tを使用すると、従来の電流-電圧変換器と比較して、ノイズを1桁減らすことが可能です。

チャージアンプの特殊な動作モード

チャージアンプは電流積分器です。一定時間内にアンプ入力に蓄積された電荷に比例した出力電圧が生成されます。
チャージアンプは、積分ステージに過大な負荷をかけないよう、リセット機構を必要とすることがよくあります。
HQA-15M-10Tは、時間平均でDC成分を持たず、発生もしないAC信号源用に開発されています。
このような信号源の電荷は、正と負が対称的に交互に発生します。
その結果、積分電荷はゼロとなるため、HQA-15M-10Tはリセットを必要としません。

電流アンプとチャージアンプの違い

電流アンプ(トランスインピーダンスアンプと同義)の出力信号は、入力電流に正比例します。
電流は電荷の時間に対する微分値です。
従って、電流増幅器の出力信号は、等価な電荷増幅器の出力信号の微分に相当します。

ピコ / フェムトクーロンまでの電荷測定

HQA-15M-10Tは、音叉型水晶振動子や縦振動子などの交流電荷源用に開発されたものです。
このアンプは、ピコからフェムトクーロンまでの電荷測定に優れた感度を達成するために、非常に低ノイズ設計と高ゲインを特徴としています。
HQA-15M-10Tは、他のアンプと異なり、冷却を必要としないため、非常にコンパクトな設計となっており、取り扱いが容易です。また、小型の筐体は信号源の近くで使用できるため、長いケーブルによる信号の干渉を避けることができます(信号源に極力近く設置することが推奨されます)。
また、250Hz〜15MHzの広い帯域幅は、様々な信号源に対応することができます。

特長

  • 高ゲイン 10 V/pC
  • 広帯域 250 Hz~15 MHz
  • 低ノイズ 40 x 10-21 C/√Hz @1 MHz

主な応用

  • パイロ および ピエゾ式ディテクタ(Pyro-and Piezoelectric Detectors)
  • 音叉型水晶振動子(Tuning Fork Quartz Crystals)
  • 長辺振動型共鳴振動子(Length Extension Resonators)
  • 原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscopy)

仕様

Model HQA-15M-10T
Charge Gain  1 x 1013 V/C
Equivalent Current Gain  1.6 x 106 V/A @ 1 MHz sinusoidal input signal
Lower Cut-off Frequency 250 Hz
Upper Cut-off Frequency 15 MHz
Input Charge Noise  40 x 10-21 C/√Hz (@ 1 MHz
Equivalent Input Current Noise 250 fA/√Hz @ 1 MHz Sinusoidal Input Signal
Input Voltage Noise  700 pV/√Hz (@ 1 MHz)
Input Impedance  1 GΩ // 1 nF
Effective AC Input Impedance 20 Ω @ 1 MHz sinusoidal input signal
Output Performance  10 V peak-peak @ 1 MΩ load
Supply Voltage ± 15 V, ± 35 mA typ.
Case  94 x 51 x 27 mm (L x W x H), weight 200 g (0.44 lb.)

使用上の留意事項

このアンプは、DCバックグラウンドのない正弦波信号を生成するチャージセンサーに直接使用するようAC結合しています。
正しく動作させるためには、1nF以下のソース容量を推奨します。
有効なソース容量(センサーとケーブル容量の合計)がアンプの有効入力インピーダンス(10nF)に対して小さいと、アンプが仮想グランドとして働き、電荷のほとんどがアンプの入力に流れ込みます。
1MHzでは、アンプの入力容量10nFは、20Ωの複素入力インピーダンスに相当します。
静電気の蓄積を防ぐために1GΩの入力抵抗を内蔵しています。
このアンプは、デバイスが飽和してしまうため、DCバックグラウンド電流を発生させる信号源には適していません。

  • 製品仕様は改良などにより、予告なしに変更となる場合あります。

技術資料

データシート


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