2016/03/29
CCD および CMOS イメージセンサー技術は 1960 年代に開発されました。 過去 40 年間、CCD センサーは市場をほぼ独占していましたが、CMOS センサーのデザインの向上により マーケットシェアを急激に伸ばし、多くのアプリケーションで CMOS センサーに置き換わってきています。 多くの場合、CCD センサーの過去の利点に精通した顧客は、CMOS センサーのカメラ型ビームプロファイラの使用について疑問を持っています。そこで、本ページではCMOS センサーの利点と CMOS センサーがイメージセンサー市場で競合となり得た改良点について簡単に説明します。
(図 1:1インチ CMOS イメージセンサ搭載WinCamD-LCM)
CCD
電荷結合素子(Charged Coupled Device:CCD)センサーは、基本的にはフォトディテクタのアレイで構成されています。フォトディテクタがフォトンを受けると、光電効果によってフォトディテクタから電子が放出されます。放出された電子の数は入射フォトン(光)の数に比例します。電子(電荷)は、ポテンシャル井戸内のピクセルの下に貯蔵されます。デバイスはデジタルなので、各ピクセルの電子(電荷)はデジタル信号に変換されます。センサーエッジ付近のピクセルは、自身の電子(電荷)をセンサーの外に転送します。次に、ピクセルはそのすべての電子(電荷)を、隣接ピクセルに転送し、再びエッジのピクセルはその電子(電荷)をチップに転送します。このように、一度に 1 ピクセルずつ、全ての電子(電荷)がチップから除去されます。CCD センサーのメカニズムについての優れたビデオは、ここでご覧いただけます。センサーから電子(電荷)が除去されるにつれ、電圧へと変換されます。一度センサーから電圧が除去されると、外部の電子機器がその電圧を増幅しデジタル信号へと変換します。
(図 2:WinCamD-UCD15 1/1.8インチ CCDイメージセンサー)
CMOS
CMOS センサーは、最初はフォトン検出のための類似した方法として使用されていましたが、CCD とは実質的に異なります。CCD センサーと同様に、CMOS センサーはフォトディテクタを介して光を検出し、光電効果を介してフォトンが電子に置き換わります。
しかし、一旦、電子がポテンシャル井戸に貯蔵されると、異なるプロセスが起こります。電子はチップの角で読み取られるのではなく、センサーを横切って転送し、CMOS センサーは電子を電圧へと変換します(このビデオをご覧ください)。この電圧は、読みだされる前にセンサー上の回路を介して増幅されます。さらに、CMOS は一般的に電圧が読みだされるいくつかのチャネルを持っています。
(図 3:WinCamD-LCM 1インチ CMOSイメージセンサー)
CMOSの利点
CMOS には、今日のイメージセンサー市場の最前線に躍り出る要因となったいくつかの利点があります。CCD には、CMOS センサーと比べられた時に不利となる“ブルーミング” ※1という CCD の構造に起因する 現象を持っています。CCD センサーに非常に強い光が入射するなどし、過飽和したピクセルが発生した場合、ピクセルからの電子(電荷)はポテンシャル井戸を満たし、周囲のピクセルにあふれ流れる可能性があります。CCD センサーは構造上、電子(電荷)は1軸に沿ってのみ流れ出すため、垂直線が画像上に見られます。一方、CMOS ピクセルは分離されており、お互いに電子を移送しないため、この現象はCMOS センサーでは見られません。
CMOS センサーは同等品の CCD センサーに比べ、より少ない消費電力、より速い画像処理という特長を持ちます。CCD センサーはチップから転送されるピクセルデータのチャネル数が制限されていますが(通常、2ch)、CMOS センサーは任意数のチャネルが持つことが可能です。一般的に読み出しチャネルがより多いセンサーほど、画像処理をより速くできます。(ある種の CMOS センサーは 16 chも持つことも可能)
(図 4:CCDセンサー上のビームイメージビームがピクセルを飽和し、周囲の垂直ピクセル内に溢流する様な場合は、ブルーミング効果に留意してください。)
さらに、CMOS センサーは各ピクセルで電子(電荷)を電圧に変換するので、いくつかの信号処理はチップ上の回路で行うことができます。これにより外部回路の必要性がなくなり、 増幅やA/D変換のために複数の外部チップを要する CCD と比べ、CMOS の大きな利点となります。
もう1つの利点はコストです。CCD センサーの製造には特別なアッセンブリラインがありますが、CMOS センサーは従来のシリコンチップ製造ラインで製造されるので、より経済的です。チップ製造の低コスト性と、今日のモバイルデバイスでの画像センサーの使用量によって、イメージセンサー企業は CMOS センサーの改良に多大なる投資をしてきています。
(図 5:CMOSセンサー上のビームイメージ図4では同じビームがプロファイルされていますが、CMOSセンサーはCCDセンサーのブルーミング効果は示していません。)
CMOS vs. CCD
何年もの間、CCD チップが主要なセンサーとして使用されてきました。CCD を使用する主な理由の1つは、そのノイズレベルの低さにありましたが、近年のCMOS 技術の進化により、CMOS ノイズフロアが着実に減少してきています。CMOS は複数チャネルで読み出すため、各チャネルのバンド幅を低減し、転送ノイズを軽減します。CCD のもう1つの利点は、同時に各ピクセルが光を記録するグローバルシャッターでした。過去、CMOS センサーはローリングシャッターのみで製造されていました。1列のピクセルが光を検出し、その次の列…というものです。多くのアプリケーションではローリングシャッターで問題ありませんが、レーザープロファイリングカメラでは、パルスレーザーからのデータを記録することがよくあります。短パルスにおいてローリングシャッターでは、暗いピクセルに対して、いくつかのピクセル行の照明のみを記録してしまいます。しかしながら、近年、イメージセンサーのメーカーはグローバルシャッター CMOS センサーを開発し、レーザープロファイルアプリケーションでの使用が可能になりました。
DataRay のレーザービームプロファイルカメラ
以前の DataRay のカメラ型ビームプロファイラは、CCD イメージセンサーのみを搭載していました。しかしながら、CMOS イメージセンサーの開発・改善により、DataRay ではカメラ型製品に CMOS センサーの採用も始めました。
最新のカメラ型ビームプロファイラ、“WinCamD-LCM” は、1インチ CMOS センサーを使用し、正確かつ信頼性の高いビームプロファイル測定を提供しています。使用されている CMOS センサーは、グローバルシャッターと大口径を持つ最新のものです。走査スリット型ビームプロファイラやその他のカメラ型の全商品は、ホームページをご覧ください。
カメラに使用されているセンサーについてのご質問などは、下記「製品に関するお問合せフォーム」にてお問合せください。