2016/10/10
はじめに
従来の DataRay CMOS カメラ型ビームプロファイラは、短波長によるセンサーの劣化を想定して、波長範囲 355~1350nm とされていましたが、最近のテストで、CMOS センサーが劣化なしで266nm までの紫外(UV)光を画像化できることが示されました;ここではそのテスト結果を説明します。
シリコンセンサーは赤外光にさらされると応答が最少化、または無応答になることから、CMOSの波長上限は1350nmとなっていますが、元来の CMOS センサーの短波長側の波長限界である 355nm は CCD センサーの下限と一致するように設計されていました。
シリコン CCD センサーは、深紫外光 (DUV) ¹ にさらされると劣化するとされており、センサーへの損傷を防ぐために、波長限界は 355nm とされていました。
355nm 以下のビームプロファイル測定を望まれるお客様が多いことから、DataRay では、蛍光結晶を使用してUVビームを可視光へと変換する、いくつかのUV波長変換デバイス(異なる波長用)を販売しています。
しかし、追加で必要となる光学部品の選定の複雑さ、またそれによって発生し得る歪などから、波長変換デバイスなしで UV 光を画像化できるカメラが好ましいとされています。
DataRay は、いくつかの大学と産業アフェリエイトとしてパートナ関係にあり、その1つセントラルフロリダ大学の光学・電子大学院では、
“CMOS センサーは、CCD センサーとはデザインと構造の両方の点で、実質的に全く異なることから、
CMOS センサーでは CCD センサーで見られる UV 光による劣化は発生しないだろう”
という仮説をたてました(記事、CCD と CMOS センサー参照)。
コロラド大学ボルダ校でも、近年 DataRay の CMOS カメラを使用し、CMOS センサーが UV 光によって劣化するかのテストを行いました。
テスト方法と結果を以下に報告します。
実験
パルス UV ビームを、CMOS イメージセンサ表面に繰り返し照射しました。
ビームは波長 266nm、径が約 0.5mm で、10kHz、60フェムト秒パルスです。
ビーム形状は、ほぼガウシアンで、平均ピークパワーが約 0.5µW/cm² です。
ビームがセンサ表面に 35 時間 40 分照射され、これは 1.3 × 109 ビームパルスの入射になります。
センサの基準化された信号がテスト中様々なポイントで記録されました。
データではセンサ応答に小さな減衰、(図1 参照)見られたが、この減衰は測定エラーの範囲内に収まりました。
実験前のセンサ応答画像(図2 a 参照)と実験後(図2 b 参照)を比較すると、ビームプロファイルに大きな変化は見られません。
確かに、実験後のセンサのフラットな照明(センサ全体が均一に照射される)は、このセンサの一部が入射 UV ビームによって劣化したかと思われるような、不均一性を示しています(図3 参照)。
結果
これらの最近のテストの結論として、DataRay では、266~1350nm のビームには現在WinCamD-LCMをお勧めしています。
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謝辞
David Couch, JILA, University of Colorado Boulder
¹ Li, Flora, and Arokia Nathan.CCD image sensors in deep-ultraviolet: degradation behavior and damage mechanisms.Springer Science & Business Media, 2006.