バランス型検出器のコモンモード除去比

コヒーレント検出のセットアップで究極のノイズ限界に到達するためには、レーザーの相対強度ノイズ(RIN)を除去することがしばしば必要とされます。

この記事では、Koheron PD100B バランス光検出器のコモンモード除去比(CMRR)を測定するためのセットアップを紹介します。

Koheron PD100Bバランス光検出器のコモンモード除去比(CMRR)を測定するためのセットアップ

平衡検出は、下図のようにマッチングされた2つのフォトダイオードの光電流を減算・増幅するものです。

マッチングされた2つのフォトダイオードの光電流を減算・増幅

出力信号は、V = G (P+ - P-) となり、Gは検出器の利得 (V/W)、P+ と P- はそれぞれのフォトダイオードに入射する光パワーを表します。
この設定は干渉計によく用いられ、2つのフォトダイオードは干渉計の各アーム上の光パワーを検出します。
これにより、測定したい位相揺らぎの原因となる振幅変調を維持したまま、レーザー強度ノイズを除去することができます。

コモンモード除去比

実際には、検出器内に何らかの残留するミスバランスが、除去効率を制限することになります。
このミスバランスは、検出器ごとに異なる検出器ゲインG±でモデル化することができます。
除去効率はCMRRによって特徴付けられ、これは2つの利得の差を平均利得で正規化したものです。
これはdBで次のように書くことができます。

計算式

測定方法

2つのフォトダイオードに同じ光パワーPが照射されている場合、平衡信号はVbal = (G+ - G-) Pとなり、片方の入力を検出器から外すと不平衡信号はVunbal = G+ P となる。G+ ≃ G- と仮定すると、次のようになります。

計算式

バランス信号とアンバランス信号の比率を測定するために、以下の設定を使用します。

バランス信号とアンバランス信号の比率を測定

Koheron社製LD100 レーザーを波形発生器(Keysight 33600A)を用いて周波数1MHz、振幅30.4 mVppの正弦波信号で変調しました。
光パワーは2つの等しい部分に分割されます。
2つの部分の相対的なパワーを調整するために、一方のアームに可変光減衰器(VOA)を挿入し、他方のアームのパワーの20%を使用します。
遅延は達成可能なCMRRを制限するので、2つのアーム間の長さの差を適切に調整します。
Koheron PD100B バランス光検出器の出力は、スペクトラムアナライザ(Textronix RSA306)に直接接続されています。
1 MHzの信号をスペクトラムアナライザで平衡型(2つの出力が395 µWに等しい場合)と完全不平衡型(1つの入力のみが接続されている場合)で測定しました。
次のような結果が得られます。

1MHzの信号をスペクトラムアナライザで平衡型(2つの出力が395µWに等しい場合)と完全不平衡型(1つの入力のみが接続されている場合)で測定

予想通り、ピーク振幅はバランス構成で減少しています。
これは、アンバランス型に比べて入射パワーが2倍になり、ショットノイズが3dB増加するためです。

バランス型とアンバランス型のピーク振幅の比を計算すると、Koheron PD100B バランス光検出器のCMRRは1 MHzで35.8 dBであることが分かります。

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